鯵ヶ沢スキー場拡張計画に係る要望


 生物の多様性が急速に低下しつつある現状は、ご存知のとおりであります。これはいうまでもなく、生態系の機能を損ない、人類の生存を脅かす憂慮すべき事態です。とりわけ昆虫類は、あらゆる生態系において圧倒的な多様性を示し、生物の生存基盤である食物連鎖の維持に、重要な役割を果たしています。しかし、スキー場、ゴルフ場その他の開発により、生息圏が破壊された結果、既に207種が日本版レッドデータブックに掲載されています。
 日本昆虫学会ではこのような状況に対処するため、かねてから全国的に自然保護委員会を結成し、昆虫類の多様性維持のための活動を続けてきましたが、その一環としてこの度、昆虫類の多様性保護を目的とした重要地域を選定し、その第一集を刊行しました(添付資料参照)。青森県内においては、まず 岩木山を選定いたしました。その理由は、固有種5種を含む多数の貴重種が棲息していますが、孤立した小規模な火山性山塊であるために、森林の伐採などの環境撹乱がきわめて深刻な影響をもたらす可能性が高く、現在の保護対策はきわめて不十分であるからです。
貴重種を保護し、生物多様性を維持するためには、地域の生態系の保全が何よりも必要です。岩木山の生態系は既設のスキー場、ゴルフ場、自動車道路等によってかなり傷つき、すでに絶滅したチョウ類もあります。これ以上の開発が事態をさらに悪化させることは、明らかです。
このような理由により、私達は鯵ヶ沢スキー場拡張計画の中止を直ちに決断されるよう、切に要望いたします。


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